数年前のこと、何のセミナーか記憶にないが、セミナーを受講するために大阪へと出かけた。

 

その帰りのことだった。

 

僕は新大阪から帰りの新幹線に乗ることになっていた。

それほど席が空いていなくて、3人掛の真ん中の席に座ることになった。

 

新幹線が来て中に乗り込むと、僕が座る予定の3人掛けの席にはまだ誰も座っていないかった。

 

(あれ?真ん中の席しか空いてないのに誰もいないのか…)

 

ふと、そんなことが頭をよぎったが、気にせず自分の席に座り、疲れていたのもあり、そのままそっと目を閉じた。

 

新幹線はものの数分で京都に到着した。

 

「すいませ~ん」、と声がして、一人の女性がやってきた。

 

どうやら、僕の奥、窓際の席をとっている女性のようだったので、
僕は膝を折りたたんで、その女性を奥へと通した。

 

その女性は席に座ると、上着を脱いだりカバンから何かを出したりして、これから始まるであろう長旅の準備を始めた。

 

僕は疲れていたのもあり気にせず目を閉じて眠りにつこうとしていた。

 

すると、スーッと僕の背もたれが倒れた。

 

僕は目を閉じていたので何が起きたのかわからず、パっと目を開けた。

 

半分寝ぼけているのかとも思えたが、まだ意識ははっきりしていた。

 

確かにさっきまでの角度ではない。

 

一体何が起きたのか?

 

 

僕はここでピンときて、すぐに隣を見た、僕の予感はと的中した。

 

隣に座った女性が、自分の背もたれが倒れず困ったいた。

 

そう、その女性は僕の背もたれのレバーは必死に動かしていたのだ。

僕は不覚にもニヤニヤが止まらず、思い切り下唇を噛んでその女性と反対側を向くことしかできなかった。

 

そしてほんの数秒後、となりの女性の方を向くと、何かに気が付いたのか、その女性は恥ずかしそうに僕の方を見て、二人はお互いの目を見て、ほんの少し笑い合った。

 

その後、その女性はゆっくりと自分の背もたおれを倒した。

 

僕も名古屋までは少し眠ろうと思い、目を閉じた時、後ろの親子の声が耳に入って来た。

 

お父さんと子供2人の声だった。子供はお男の子で恐らく小学校1、2年生、下の男の子は幼稚園児だろう、すると、お兄ちゃんの方がこう切り出した。

 

兄 『ぱぱ、ダジャレ対決しよう!』

 

父 『ええ!ダジャレ!まぁ、、、いいぞ、じゃあ、さっき言って』

 

なかなか面白いことになってきたなと思うと、いきなりお兄ちゃんはこういった。

 

兄 『その忍者は何人じゃ!』

 

僕(コイツ!できる)

 

34年生きてきて初めて聞いたダジャレだったので少し驚いた。

 

兄 『はい、次はパパね!』

 

父 『うん、じゃあ、、、、、イルカはいるか?』

 

僕 (オヤジは普通なんかい!)

 

と、心の中で思いつつも、次のお兄ちゃんの順番を待った。

 

兄 『じゃあ、俺ね』

 

兄 『アルミ缶の上にあるミカン』

 

僕 (お前、まじか!)

 

またもや、聞いたことのないダジャレに驚いてしまい、もう、ダジャレが気になってしまって寝れる状況ではなくなっている。

 

次のお兄ちゃんの順番が楽しみになってしまっている僕がいる。

 

すると、弟が急に割り込んできた。

 

弟 『俺もやりたい!!!!!!』

 

兄 『お前わかんないだろ!!!』

 

弟 『はっ!!わかるし!!』

 

父 『いいよ、入れよ、じゃあ次のお兄ちゃんの後からな』

 

こうして、このダジャレ対決に弟が参戦することになった。

 

兄 『じゃあ、次はパパからだね』

 

父 『うん、えーとじゃあ、ふとんがふっとんだ』

 

僕 (ちっ!やっぱオヤジはダメか、まぁいい、次は兄貴だ)

 

街に待った兄の番だ。お兄ちゃんの順番を楽しみにしてしまっている自分がいて、妙におかしくなってきた。

 

兄 『和食を食べたらワーショック』

 

僕 (ん~、でもこれは微妙。聞いたことがある。もう人工夫ほしいところだ)

 

兄 『はい、次はお前ね』

 

次に初参戦の弟の順番が来た。
弟の実力はどうかと少し楽しみではあった。

 

すると、弟は渾身の力を込めてこう言った。

 

 

 

弟 『野球選手がバットを壊しました!』

 

 

 

一瞬、時が止まった。

 

 

 

ただ、僕は何が起きたのか瞬時に理解できた。

 

弟は、ダジャレを理解しておらず、何かオモシロいことを言えば良いと思ってこの言葉を言ったのだ。

 

僕は天を仰いだ。

とんでもないものをブッコまれて、僕は一瞬でも気を抜いたら噴き出してしまいそうになっていた。

 

ギュッと目を閉じたまま下唇を思い切り噛んだ。

 

そのとき、ふと頭をよぎった。

 

下唇を噛む? さっきも同じことがあったような。

 

 

そうだ、隣の女性だ

とっさに目を開けて隣の席を見ると、

 

先ほどの女性が、下唇を噛みながら笑いをこらえて小刻みに震えていた。

 

しばらくすると、その女性は恥ずかしそうに僕の方を見て、お互いの目を見つめ合い、ほんの少し笑って会釈をした。

 

そして、僕らはゆっくり目を閉じて眠りについたのだった。

 

 

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