オオクラ 「今日、オレが台湾ラーメンで良い??」

ナガエ 「いいよ!じゃあ俺がチャーハンで!!」

 

威勢よく開業してから半年が経っていた。

昼飯と言えば、もっぱら事務所の近くの中国人が経営する激安の中華料理屋だ。

ランチタイムに行けば、なんと680円で台湾ラーメンとチャーハンがセットでついてくる。

これを1人前頼んで、二人で食べるというのが僕達の昼ごはん。しかも、2日1回は昼飯を抜く。

こんな究極の節約生活をしなければならないほど窮地に追い込まれていた。

 

少し前までの威勢の良さはいったいどこへ行ってしまったのだろう。

一体この半年間で何があったのか…

 

 

そう。何もなかったのである。

 

 

開業してからというのも、無い知恵を絞って考えられることはやってきたつもりだ。

 

  • 飛び込み営業
  • テレアポ
  • FAXDM
  • 新設法人にDM
  • HP作成
  • ○○会に入会し人脈構築
  • 自社開催のセミナー

 

なのに半年で増えた顧客は15件程度。減ったお金はざっと計算して7百万。。

今思うと15件取れただけでもすごいことだと思う。しかし、ほぼ顧客ゼロでしかも借金をして開業した僕達にとっては15件ほどでは何ともならない。

 

この頃の僕の日課はというと、資金繰り表とにらめっこして、いつ資金が底をつくか計算することだった。

よく、「このまま一件も客が獲れんと、来年の5月にはデフォルトするぞ!」とナガエに報告したものだ。

 

本当に笑えないぐらい厳しい状況だった。毎月5件ぐらいは顧客を獲っていかないとほんとに資金が枯渇してしまう。

そんな悲惨な状況だった。

 

そんな時期が確か開業した年の12月頃。はじめて約半年が過ぎた頃だったと記憶している。

 

当時一番力を入れていたのがセミナー集客だった。

自分で内容を全部考えて、これはイケると思って開催したのが、その名も「中小企業のための資金繰りセミナー」

 

今もうと本当にお粗末な内容で、よくこれでそれっぽい顔して講師なんかやったなと思う。

恥ずかし過ぎて資料のデータは捨ててしまったが、あったら見てもらいたい。ほんと思い出すと今でも恥ずかしくなって赤面してしまう。

 

それはさておき、この時の集客はというと、10,000件ぐらいFAXDMを送り、5件~15件ぐらいの参加者がくると言った具合だ。

そして、その後に個別相談というのを設けて顧客にしてしまおうという流れである。

 

一番やった時は、月に2回ペースでやっていたと記憶している。

そこで、ぽつぽつ顧客を獲得できていたのだが、いかんせんこの方法は資金繰りが最高に悪い。

 

一度セミナーを開催しようものなら、10,000通ものFAXDMを送らなければならない。

これには約10万円の広告費が掛かる。もちろんこれは先出になる。

 

さらに1回セミナーをやって、顧客1件を獲得できたとしてもすぐに契約になるわけではない。

次の決算が終わったらというパターンが一番多い。

 

仮にすぐに契約になったとしても、税理士の報酬は毎月定額課金のため、10万円の広告費を回収するのに何カ月かは確実に掛かる。

 

つまり、セミナーをやればやるほど資金は減っていくという状態だ。

 

そんな時、チラホラとHPから問い合わせが来るようになっていた。

たぶん、最初は作りたてだったので検索順位も低くアクセス自体がなかったのだと思う。

 

それをきっかけに、大勝負に出ることを決めた。

この時の預金残高は、たしか200万円もなかったと思う。

 

そんな状態で僕はナガエに相談を持ちかけた。。

 

オオクラ 「○○○に金突っ込んでみようと思うんだけどどう思う?」

オオクラ 「85万だから、ミスったら飛ぶよ。」

 

こう言いながらも、何て返事をするかはわかっていた。。。

僕の予想通りに彼はこういった。

 

ナガエ 「いいんじゃない。」

ナガエ 「何もせんとどうせ潰れるだけだし、遅いか早いかでしょ」

 

この時以上に彼のことを心強く思ったことはない。

ほぼ、潰れます宣言をしているのに、何のためらいもなく同意するとは。。

 

たぶん馬鹿なんだと思う。

僕も含めて。。

 

 

そして、次の日、震える手を押さえながら、85万円の送金ボタンをクリックしたのであった。

 

続く

【T-FRONT物語】第三話-T-FRONTの破滅?長江との別れ