■制度概要

小規模企業共済といえばオーソドックスな節税方法の1つになりますが、制度概要としては以下のような場合に、それまで積み立てた掛金に応じて、共済金を受け取る制度です。
  • 個人事業主が事業を廃止した場合
  • 会社の役員が役員を退職した場合

■積立型の生命保険と何が違うの?

小規模企業共済と積立型の生命保険の1番の違いは〈節税額〉です。
それ以外では、例えば、生命保険には死亡保障などが付きますが、小規模企業共済には死亡保障などの保障はありません。
小規模企業共済を簡単に説明するなら、〈将来の退職金としての積立(貯金)が節税になるもの〉といってよいでしょう。

■どれだけ節税できるの?

小規模企業共済の掛金は、月額2,000円から70,000円とされ、払込掛金の全額が所得控除の対象となります。
年間払込掛金の上限が84万円です。
小規模企業共済を活用してどのくらい節税ができるかというと、それは個人の所得税率により変動しますので、下記の参考例にてご確認下さい。
<参考例>
設定条件:年収1,200万円の役員報酬の場合
(1)小規模企業共済加入前
  1. 給与収入1200万円
  2. 給与所得控除230万円
  3. 給与所得金額970万円(1-2)
  4. 社会保険及び厚生年金保険料控除135万円
  5. 基礎控除38万円
  6. 課税所得金額797万円(3-4-5)
  7. 所得税額120万円
  8. 住民税額80万円
(2)小規模企業共済加入後
  1. 課税所得金額(小規模企業共済控除前)797万円
  2. 小規模企業共済控除84万円
  3. 課税所得金額713万円
  4. 所得税額100万円
  5. 住民税額71万円
所得税と住民税を合わせると、年間で約30万円の節税になります。
 もちろん、収入が1,200万円より多い場合はこれ以上の節税効果が見込まれます。

■退職時(解約時)にはお金がいくら返ってくる?

ここが一番の注意点です。
小規模企業共済は節税になりメリットしかない!
と思いますが、当然デメリットもあります。
掛金納付の月数や解約内容により、解約時の受取金額が<掛金に対して80%~120%>と変わります。
解約時の掛金納付月数が240ヶ月を下回ると、解約金受取額は掛金の100%を下回ります。
つまり、20年以上掛け続けないと受取時には損をするということです。(もちろん、20年間の間に節税ができているので、実質的な損ではありませんが)
中途解約だと損をするため、長期的な資金計画のもと小規模企業共済には加入しなければなりません。
第一優先順位→節税
ではなく、
第一優先順位→資金計画
第二優先順位→節税
で考えて加入することをお勧めします。

■退職時(解約時)の税金はどうなる?

先に言っておきますが、解約金受取額は無税ではありません。
退職所得又は雑所得(公的年金)として取り扱われ、税金がかかります。ただし、税金がかかるといっても退職所得であれば、給料でもらうより低い税額で済みます。

■節税以外の特典

契約者貸付制度があり、払込済みの掛金合計額の範囲内で事業資金などの貸付けが、担保や保証人なしで受けられます。
掛金の範囲内ですので、事業投資資金としては少ない金額ですが、ちょっとした借り入れをする際には良いです。

■加入できる人とは?

○建設業、製造業、運輸業、宿泊業、娯楽業、不動産業、農業を営む場合
常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
○卸売業、小売業)、サービス業を営む場合
常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
○常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
○その他詳しくはこちらまで
http://www.smrj.go.jp/skyosai/051296.html

■まとめ

小規模企業共済の加入は初回年払いも可能ですので、例えば今年かもう節税を始めていきたいという方でも、12月中に月額7万円×12ヶ月分を支払えば、平成28年度より84万円の小規模企業共済控除を受けることができます。
ただし、以下の項目を把握したうえで加入して下さい。
  • 掛金は所得税及び住民税の節税になる
  • 解約した場合の解約金受取額は税金がかかるが税額は低い
  • 長期的に掛け続けないと、結果として損する場合もある
  • 資金計画ありきで節税を行う