あれから1年後。

僕達は表彰台に立っていた。

 

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最後の一手として、名古屋に事務所を移転することを決めた日から約1年が過ぎていた。

 

僕らはアックスコンサルティングが主催する新規顧客獲得キャンペーンで事務所・個人・件数と3冠を達成し見事全国1位となることができた。

 

一年前までは事務所を廃業しなければならないほどの窮地に追い込まれていた僕らにいったい何が起きたのか??

 

 

名古屋に事務所を引っ越してから間もなくしてその兆候は見られた。

この頃から、これまでHPからの問い合わせが月に1、2件だったはずが、週に1,2件に増えていた。

 

SEO対策の効果があったのか、それとも名古屋に事務所を引っ越したのが良かったのかはわからない。恐らく両方だと推測している。

 

問い合せの電話には、フリーダイヤルを使っていたため、電話取るとその電話が問い合せなのかどうかがすぐわかる。

 

フリーダイヤルの場合は、電話を取ると地域名のアナウンスが流れる。

「ナゴヤ・ナゴヤ」

これが問い合せの合図だ。

 

当時はこのアナウンスを聞くたびに、お互い顔を見合わせてガッツポーズをしたものである。

 

しばらくして、状況は急激に進展することになる。

夏ごろには、週に1,2回の問い合わせだったものが、なんと毎日来るようになっていた。

 

検索ワードの順位は、「税理士 名古屋」が2位。「会社設立 名古屋」は5位ぐらいの検索順位だったような気がする。85万円は高かったがその分は余裕で回収できていた。

それに加えて、月に20万円以上はリスティング広告を打っていた。

 

しかも、名古屋ではまだ、「会社設立0円」という宣伝文句で広告を打っている事務所は無かったため、それは反応が良かった。だいぶ先駆者利益の恩恵を受けさせて貰った。

 

しかし、こうなると新規の対応だけでかなりハードなスケジュールになってしまう。

当時ガムシャラだった僕らのやり方は、問い合せが来たら先方まで訪問するのが主だった。

その方が契約率が上がると思っていたのもあるが、営業マンは訪問するのが当たり前だと考えていたからだ。

今思えば、かなり非効率な営業方法だったと思う。

ひどい時は2時間ぐらい車で新規の問い合わせ先に行って、契約に至らなかったことがある。

今ならこんなことは考えられない。

 

何でそんな遠いところまで商圏を広げていたのかわからないが、この頃の僕達はとにかく飢えていた。

 

単純にお金がなかったからやるしかなかったということもあるが、それとは違う感情でモチベーションを保っていたのだと思う。

 

僕らは開業する前の、「根拠のない自信」を、「確信」へと変えたくて、ただひたすらに突き進んだ。

 

そして、これまでのウップンをはらすかのように、来た問い合せは一件でも逃すまいと、なりふり構わず新規の問い合わせを契約に結びつけた。

 

そのあとの事はあまり記憶に残っていない。ただただ新規の対応に追われて忙しかったのを覚えている。気付いた時には、1年弱で120件以上の顧客が増えていた。

 

しばらくすると、毎日の僕の日課は変わっていた。

これまでは、「いつ資金ショートするか」を計算するのが毎日の日課だった。

 

それが、「いくら役員報酬を取れるか」を計算することに変わっていた。

 

28歳の春のことだった。

 

続く

【T-FRONT物語】第五話-T-FRONT、大きく右に舵を取る!